研究概要 |
大型農業機械の走行に伴う農地の堅密化の現象を明らかにするため, 土壌の初期含水量を変化させた不飽和土の圧縮試験を行った. また, 北大農場飼料畑でコーン貫入試験を行い, 耕耘直後から収穫までの期間における50cm深さまでのコーン指数の変化を検討した. 1.圧縮試験の供試体(内径7.9cm・高さ5cmのモールドを使用)の作製は, 耕耘直後の膨軟な土層状態を再現するため, タップ充填法を用いた. 2.圧縮試験は, ベロフラムシリンダー式の載荷装置による静的な方法(側方拘束の一次元圧縮)を用い, 圧縮荷重は0.5, 1, 2, 4, 8Kgf/cm^2の5段階とした. また, 供試体の長さ5cm(モールド1箇)と30cm(モールド6箇接続)の2種類について圧縮試験を行った. 3.供試体長さ5cmの圧縮試験の結果, 土壌の初期含水比が高いほど圧縮後の乾燥密度が増加し, 飽和透水係数は減少する傾向を示した. また圧縮後の乾燥密度と飽和透水係数の間には, 近似的に負の直線的関係が得られ, 圧縮によって排水性が不良となる乾燥密度の値を, 供試土別に特定することができた. 4.供試体長さ30cmの圧縮試験の結果, , 圧縮による密度増下は地表直下で最も大きく, 深さが増すと次第に減少するが, 2Kgf/cm^2以下の低い圧縮荷重であっても20cmより深い層にまで密度増加は及んでおり, 車両の繰返し走行により下層土の堅密化が徐々に進行すると予想された. また初期含水比が高いほど, 土層全体の密度増加は大きく, 供試体長さ5cmの結果との類似性が認められた. 5.圃場におけるコーン貫入試験の結果, 深さ25cm以下に存在した堅密な土層は, 通常の耕耘方法によっては変化が認められず, 春から秋にかけてほぼ一定の極めて大きいコーン指数を示した. 6.以上の結果を踏まえて, 来年度は圧縮に伴う地中応力の分布と土壌構造の変化の変化について明らかにし, また圃場におけるコーン指数の変化についても継続して検討する予定である.
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