前年度では、不飽和状態における圧縮挙動の基本的な性格について明らかにしたので、本年度は、不飽和圧縮土の構造性を定量的に評価することを試み、土壌水分量と圧縮後の構造との関係について検討した。 1.前年度と同じ3種類の供試土を用い、静荷重による側方拘束の一次元圧縮試験を行い、その結果をe〜logP曲線で整理した。 2.不飽和土の圧縮に対して、飽和土の圧縮を検討するため、飽和練返し土の標準圧密試験を行い、同じくe〜logP曲線で整理した。 3.不飽和土と飽和土のe〜logP曲線を比較すると、同一圧力に対する間隙比は、すべて飽和土より不飽和土で大きい値を示した。 4.ある圧力Pにおける不飽和土と飽和土の間隙比の差(△e)が、不飽和圧縮土の間隙の面から見た構造性を反映していると考え、△eを間隙の絶対量(間隙率)に変換した"間隙増加量(△n)"を計算し、この値をもって不飽和圧縮土の定量的な構造指標と見なした。 5.農地の現実的な圧縮荷重として、2kgf/cm^2以下を考えると、△nと初期含水比との関係において、△nが最大値を示す含水比領域が存在する傾向が認められ、この含水比領域で農作業を行うことが有利とみなされた。 6.上記の含水比領域は、ほぼ塑性限界〜収縮限界に相当している。 7.△nと圧縮土の飽和透水係数との間には、片対数紙上でほぼ正の比例的関係が認められ、構造指標としての△nは、圧縮土の物理性とも良好な対応を示す。 次年度(最終年度)では、本研究課題で残された問題点として、不飽和圧縮土の硬度特性について検討し、圃場におけるコーン貫入試験も併行して行う予定である。
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