近年における農業の機械化の進展は、土壌の過剰圧縮を発生させる傾向のあることが指摘されている。本研究は、圧縮による土壌構造の変化の解明を中心課題とし、実験的手法を用いて土壌の構造性を数量的に表現することにより、圧縮の影響を評価することを目的とした。 昭和62年度では、圃場から採取した不攪乱土試料の圧縮による構造変化を検討した。多水分状態での圧縮の影響を明らかにするため飽和した不攪乱土試料を用い、一次元圧縮試験を行った。圧縮による構造変化は、圧縮土の収縮挙動を測定することにより構造性間隙量の変化として評価できることを明らかにした。圧縮による構造変化のメカニズムとして、団粒の配列変化と団粒内の土粒子配列の変化のあることを指摘し、圧縮荷重と不攪乱土試料の圧密降伏応力の関係が構造変化の内容を決定していると考えられた。 昭和63年度では、不飽和土としての締固め土の構造と締固め含水比の関係を検討した。締固め土の構造性は、締固め土の収縮挙動の測定により統一的に評価できることが明らかとなり、締固め含水比が大きいと構造性間隙が少ないが、ある締固め含水比より低含水比になると急に構造性間隙が増大し始めることを見いだし、乾燥による団粒の強度増加と関連することを指摘した。 平成元年度では、耕耘直後の膨軟な土層が圧縮によりどのように堅密化するかを検討した。土壌水分量と圧縮荷重を変えて一次元圧縮試験を行ったが、車輪トラクタ-の平均的接地圧に近い2kgf/cm^2の圧縮荷重では、土壌水分が塑性限界〜収縮限界に相当する含水比で構造的な大間隙が最も多くなる傾向のあることが判明した。また30cm土柱の圧縮試験も行い、2kgf/cm^2以下の圧縮荷重でも20cmより深い土層に密度増加が及ぶことが明らかになった。
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