研究概要 |
今年度は圃場における地表の微動特性, これと同一地盤上にある低層建築物の微動特性を調査し, さらに3ケ月程度の地震動観測を行ったこれにより得られた知見は次の通りである. 1.東京農工大学附属農場中央に, 20m間隔の3測定を設け, それぞれ, 南北, 東西, 鉛直の3方向の微動を感知する速度型地震計を配置し, 微動の記録を得, 周波数分析を行った. 微動の特性は次の通りである. (1)昼間(10〜14時)の時間帯における計測では, 地動変位の分数値を振動成分別に比較すると鉛直成分が, 他の2成分に比べて2〜10倍程度大きく, そのrms値は, 0.35〜0.16μm程度である. (2)微動のパワスペクトルが有意である周期の範囲は1秒以上のやや長周期成分である. 卓越周期は南北方向が3.4〜2.3秒, 東西方向が1.9〜1.0秒, 鉛直方向が3.9〜22秒であり東西方向がやや短周期である. 3成分を通じ, 周期2秒というのが, 本圃場の代表的卓越周期の値である. (3)乗福反射理論により, こうした卓越周期が表れる地下構造を逆に想定すると, せん断波速:Vs=1000m/s程度の基盤の上にVs=300m/S程度の層が少くとも100〜130m堆積し, その上に30m程度の表層低速度帯が堆積しているものと考えられる. 2.上の特性を有する地盤上の低層コンクリート建築の2階の1点において建物内の微動の計測を行った. 微動のパワスペクトルの特性値は, 圃場のそれと多くの共通点を有していたが, 床版の曲げ振動を代表していると思れる鉛直動の卓越周期は3.7秒であり圃場のものより長周期であった. 3.ディジタル強震計による地震観測を10月より開始し, 当初記録始動振動レベルを3cm/s^2で開始した. この場合テープ1巻に約2ケ月で53個の記録が得られたが真に地震によるものは3個であり, 他は全て雑音であった. 現在レベルを5cm/s^2で計測中である.
|