研究概要 |
パーソナルコンピュータの高性能化と数式処理ソフトウェアの急速な発展と普及は, これまで大型計算機センタのみに限られていた数式処理を個々の研究者の研究室に設置したパーソナルシステムにおいても可能としている. 本研究では送配水パイプラインシステムの定常流解析と日定常解析のために必要となる, 系の基礎方程式系すなわち多次元の連立一次常微分方程式をパーソナルコンピュータ上で数式処理プログラムによる代数的演算のみによって生成し, これを数値解析に便利なFORTRANプログラムに変換する手法を確立することを目的とした. このために, 高性能パーソナルコンピュータとしてNEC9801VX21型を設置し, 増強メモリーMC68KCPUボードおよび2MBのRAMボード(CANOPUS, BUG)を取り付け, OSはCP/M86とCP/M68K(CANOPUS)のもとで, StaffLISP/9801(BUG, CANOPUS)により数式処理言語REDUCE3.2(BUG)を利用できるようにした. 基本的代数的演算すなわち多項式の展開, 数式的微分, 積分および因数分解について各種の経験を積むため多くの例題によるテストを行なったが, 未経験のため多大な時間と労力を必要とした. これまでの理論的研究によってパイプラインの基礎方程式系は系のミクスドポテンシャルから数式的微分によって得られることがわかっていたので, 簡単な例についてテストを行った結果, ラグランジュ方程式系として容易に生成されることを確認することができた. しかし高次元の例題ではメモリーの制限等から取扱い上で充分な注意と工夫が必要であることを認識させられる結果となり, 現在はこれらの問題を解決すべく研究中である.
|