昨年度その基本的枠組みが作り上げられた農地排水計画に関するエキスパート・システムの汎用化と、そのデバッキングを中心に、本年度研究を進めた。全国各地の農地開発地における排水計画の体系を調査し、種々のケースについてエキスパート・システムで取り上げることができるように、ルールの細分化、推論エンジンの基本構成作りにとりかかった。主なルール項目は1)計画降雨の与え方、2)栽培作物、3)傾斜、4)排水計算方式、5)水兼道路の採否、6)沈砂池(圃場内、末端)の有無、7)受益地内での小規模循環潅漑の有無などである。システム自体は、現段階ではなお開発途上にあり作動してはいないが、排水計画の各作業パートについては、それぞれ大型計算機による自動計算が行えるようになっている。 このエキスパート・システムを当初マイクロ・コンピュータ上に実現させることを考えたが、システムがかなり大きなものとなり、現時点で普及しているマイクロ・コンピュータでは、容量的な制限から、その実現は不可能と思われる。したがって、最終的なシステムは汎用大型計算機上に構築することになる。このため、当初考えていたより複雑な計画諸元についての自動設計を行えることになり、システムの一部にCADを取り入れる方針で、研究を進めて行く予定である。
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