今年度は、最終年度に当たるため、農地排水計画エキスパ-ト・システムの全体フロ-を明示し、以下の順に具体的プログラミングを進めた。 1.計画降雨算定支援システム 1.1 計画降雨強度式決定サブシステム 1.2 ハイエトグラフ算定サブシステム 2.排水容量算定支援システム 2.1 合理式によるピ-ク流量計算サブシステム 2.2 雨水流モデルによるハイドログラフ算定サブシステム 3.排水施設計画支援システム 3.1 排水路断面の決定サブシステム 3.2 洪水調整池容量および排水口断面の算定サブシステム 3.3 暗渠排水施設の選定サブシステム さらに、以上のサブシステムを連結し、それぞれのル-チンをメニュ-形式で選択するメインプログラム部を作成した。ただし、本エキスパ-ト・システムをすべてパソコン上で構築することはできなかったため、2.2、3.2等の複雑な計算を必要とするサブシステムはメインフレ-ム上でどのように利用するかのガイダンスを指示されるだけの構成となっている。したがって、本システムは現場ですぐに利用できる段階にはなく、本研究成果は農地排水計画という一つの事例を通して、農業土木の設計現場にエキスパ-ト・システムを適用するに当たっての基本的考え方を示したに留まっている。これは、本エキスパ-ト・システムで採用したハ-ドウェア上の制約で、今後はより高機能のパソコンないしはワ-クステ-ションへの移植を踏まえて実用性の高いシステムへと発展させる必要がある。
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