研究概要 |
昨年と同様に埴見と宮内両処理場の汚水浄化性能調査、各処理場の放流先河川,東郷湖,橋津川の水質調査および水田から出る水の水質調査を行なった。 62年から63年にかけて埴見処理場の回転円板8室のうち1系列の第1室と第4室に鉄製円板を取りつけ脱燐効果を見た。その結果、脱燐に鉄製円板は有効である事がわかった。鉄製円板の耐用年数が来たので,最初取りつけてあったプラスチック性円板と交換したが円板に生物膜の付くのに時間がかかった。交換後17ケ月を経て、やっと原状に戻った。生物による汚水浄化の管理の難しさを痛感した。両処理場の浄化能力は過去2年間と同様に良好で、東郷池に何ら悪影響を与えていない。 次に水田の排水の水質調査結果について述べる。実態を把握するため用水路、水田の水尻、暗渠、排水路、アオコの発生している池などの水質を調査した。全窒素について見ると用水路のT-Nは農業用水基準の1ppmを満足しているものの、排水路のT-Nは6/22〜7/12、9/3〜9/14の間で1ppmを越えている。中でも6月30日は、7.38ppmと非常に高くなっている。これは水稲栽培における施肥と関係があると思われる。暗渠水と用水とを比較すると6月22日と6月30日の2回,暗渠水の方が高くなっている。これは施肥後に肥料分が暗渠から出たためと思われる。その他の期間では,暗渠水のT-Nは用水のそれよりも小さい。これは水田表面に与えられた肥料が水田中を降下する間に水稲に利用されたり、あるいは土壌に吸着されたり脱窒したためと思われる。次に燐についてみると用水のT-Pは他の水のそれよりも高い。即ち水田に入った燐は水田から出る間に水田土に吸着されるか、あるいは作物に利用されることによって減少している。これは燐を吸着する能力のあるクロボクが水田に含まれているからだと推定される。
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