瀬戸内沿岸は、日本でも雨が最も少い地域の1つである。また、高度の農業地帯である。香川県はその中でも特に雨が少い。そのため、5〜6年に1度の高い割合で干バツが生じていた。現在香川用水の完成により、讃岐本土の大部分は水不足からまぬがれている。しかしながら、その恩恵を受けていない讃岐本土の山間部および島しょ部は依然として水不足であり、その解決が強く望まれている。本研究では、水資源の有効利用に関して、まず、香川用水の効果を明らかにし、同時に島しょ部の水資源開発の必要性を論じ、さらに節水かんがい法としてのドリップかんがい、蒸発抑制としてのマルチの諸問題および傾斜地流域の水賊存量の評価について論究を行った。これらについて要点をまとめると次のとおりである。 1.香川用水の効果 香川用水通水前後における水稲の干バツによる被害量、水稲の生産量と生育期間における日謝量、気温との関係を解析し、香川用水の効果を明らかにした。 2.ドリップかんがいによる節水 (a)マイクロチユーブの摩擦抵抗によるドリップかんがいシステムの滴下流量の調節 その端の流れがドリップフローとなる条件でラテラルラインに沿った滴下流量が均一となるような設計手法を提案した。 (b)ラテラル管内水頭の簡易計算法 水頭分布の算定精度に及ぼす摩擦損失係数および滴下流量の影響について論じ、簡易に水頭分布を算定する手法を開発した。
|