本研究の目的は、南九州における火山灰質粘性土を改良して、適当な遮水材料となる土質材料を選定することである。この研究課題では粘性土にクロボク土を混入材料にシラスを取り上げ、それらの混合土が遮水材料として用いられる場合のシラス混入率について検討した。得られた結果は次のように要約できる。 1.シラス混入率が50%以下の場合、混合土の物理的性質はクロボク土に類似しており、70%以上ではシラスの性質に近くなる。また締固めた混合土は混入率が大きいほど最大乾燥密度は増大するが、その剪断特性は混入率50%程度までクロボク的で粘性土、80%程度からシラス的で砂質土の性質を示している。 2.剪断強度は供試体の初期密度、拘束圧及び粒子破砕に影響される。とくに高拘束圧のもとでは軸差応力の増加割合がひずみの増加にも拘らず減少して、剪断抵抗角は高拘束圧の方が低拘束圧の場合に比べて小さくなる。その剪断破壊は供試体中央部から表面に向って進行する。 3.砂分が70%程度になるようにシラスを混入すれば、締固めた混合土は透水係数k=10^<-6>cm/sec、粘着力Cu=0.4kgf/cm^2、内部摩擦角Φu=25°になる。その圧縮指数は0.2以下である。 以上の結果を総合すると、シラス混入率が50%程度からクロボク土の工学的性質に改良効果が現われ、混入率60%で締固めた混合土が遮水材料として適当である。しかしながらフィルダム用土として二次圧密の大きいクロボク土を含む混合土の使用は、他に適切な用土が得られない場合に限って考慮すべきである。
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