研究概要 |
本研究は実際のトラクタ作業から分析資料を得て, 農業機械の最適制御技術を解明しようとしているから, 次の4つの手段が必要である. (1)トラクタの負荷モードに関係する記録用出力装置の取り付けと性能確認. (2)前記の出力をとり, 自動記録できる装置の製作, (3)自動記録されたデータの分析技術の確立, (4)分析結果と作業状況の関連性を把握して結論を得る. 研究計画が2年になっているので, 初年度は計画通に(1)(2)(3)を中心にして進め, おおむねその目的を達成した. (1)と(2)に付いては, 申請時に研究専用の35PSトラクタで計測装置が出来ていたが, 最初の農作業がさらに大きなトラクタを利用する(北大農場では全て8φPS級で実施)ようになっていること, および本研究が数多くの作業記録を必要とすることから, 汎用の作業記録装置が不可欠になった. そこで新たにワンチップマイコン日立HD6301に大型LCDを使った自動記録制御装置を開発した. これはアナログ入力8・デジタル入力・17を備え, RS232Cを通して結果を出力する. これにより, 基本的な動力の状況が何れのトラクタでも記録できるようになり, 実際に北大農場で作業を記録して実用性を確認した. (3)については, 当研究で導入した2現像FFT装置を用いて, 長時間作業記録から分析する手法を試みた. 本来, 音声や振動等の分析に用いるFFT装置であるが, アナログ記録を積分機を通して散点的に供給することにより, 農用トラクタの極低周波現象が, これによって分析でき, 畦への導入・直進作業時・畦からの脱出・回向時の特性が区分できることがわかった. 最終年次となる次年は, これらの基礎研究を基にして, 最も重作業で変動の大きいプラウ耕とロータリ耕を始め, 各種の作業を対象に記録・分析して, 農業機械の制御を行なう上での種々の条件を整理し, 最適制御のための結論を得て, 成果報告書とする.
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