本研究は、営農作業中のトラクタと作業機の挙動から、分析資料を採集して、トラクタ作業機の最低制御技術を解明することを目的にしている。そのために次の4つの手段を段階的に進めた。(1)トラクタと作業機の挙動を計測して出力するセンサの取付けと開発、 (2)前項の出力を採り、自動記録のできる作業計測モニターの開発、 (3)記録されたデータ(農作業という影響条件の雑多な下で得られる)の分析技術の開発、 (4)前項と作業条件を関連づけて最適制御のありかたをとりまとめる。 1.センサーの装着と開発、トラクタと作業機の挙動把握は、機械工学・機構学的事項についてのセンサーは市販品で充当させたが、肥料の落下量などの農学系のものは困難が多い。さらに不整地での作業速度計測すら未解決である。本研究では、電波法にも拘束されない超音波ドップラー速度レーダーを開発し、極めて高精度に、刻々の速度が計測できるものとした。 2.トラクタ作業計測モニターの開発、屋外の圃場内で利用することを考慮して、ワンチップマイコンと大形LCDで組上げた計測モニターを開発し、多様な目的に沿ったソフトウェアを備えて、一般研究者用として公開できるものとした。アナログ入力8点、デジタル入力17点(回転等のパルスと断切信号)を備え、前項の作業速度と時刻とを合せRS232C仕様で結果を出力するものである。運転者は計測値を見ながら、最適操作をすることが可能。 3.データの分析技術、開発した計測モニターを用いて、プラウ耕・ロータリ砕土、スプレーヤ防除を始め、数多くの作業実態の計測をした。その結果計測モニターの有効性は実証できたが、従来では常識としていた変動範囲どころか、作業の挙動は予想外に幅広く変化して、説明度数の不足を知った。FFTを使って作業の行程毎に挙動を分析する手法も有効であったが、(4)のまとめに達しなかった。研究を継続する。
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