X線CTスキャナにより非破壊で貯蔵中に発生する浮き皮を検出・測定し貯蔵条件が浮き皮発生にどのように関わってくるかを検討した。 実験装置は前年と同じビニールテントのチャンバとチャンバの気密を保つための水槽から成っているが、チャンバ内の空気の循環は、みかんの重量減少を抑えることを考えて、ガス濃度測定の直前だけ行った。貯蔵の実験区として貯蔵温度を5^○Cと15^○Cとし、それぞれに予措、落下、対照の各区を設定した。みかんは昭和63年12月10日に収穫し、12月16日から2月23日までの70日間貯蔵実験を行った。この間貯蔵開始後26日、46日、63日にX線CT断層撮影を行い浮き皮の測定を行った。この他に貯蔵中のみかんの品質評価に糖度、酸度、重量減少、果皮色の変化を測定した。また、チャンバ内の炭酸ガス濃度測定を行い、累積炭酸ガス放出量と実験区の関係、炭酸ガス濃度と炭酸ガス放出速度などの関係について考察を加えた。 浮き皮については、X線CT断層をポラロイド撮影した写真を画像処理し果皮と内部の間の間隙を測定して断面積に対する割合で表したが、各実験区間で大きな差異は認められなかった。糖度、酸度についても各実験区で大きな差はなかったが、甘味比(糖に対する酸の割合)でみると、15^○C落下区での増加が顕著であった。重量減少については、5^○Cでは各区の間でほとんど差はなかったが、15^○Cては落下区、対照区、予措区の順に大であった。果皮いいろの変化については、ハンター表色法のa、b値を用いた(a/b)×100で表すと、15^○C区では増加し貯蔵中果皮が赤味を増すことが知られた。各区での貯蔵中の累積炭酸ガス放出量は重量減少と同じ傾向であった。炭酸ガス放出速度はどの実験区でも、チャンバ内の炭酸ガス濃度が高くなると抑えられることが認められ、みかんについても炭酸ガスによりCA効果があることが分かった。
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