研究概要 |
1.研究の目的:本研究は農業機械のハンドル部の振動の手腕系への伝達が, その握り方とくに把持力やハンドルの形状に如何に影響を受けるかを検討し, 手腕系への振動伝達を軽減するハンドル部の形状を明らかにしようとするものである. 2.研究の方法:(1).把持力およびハンドル部の振動の測定-刈払機および耕うん機に試作の把持力測定用ハンドルと3方向加速度ピックアップを取り付け, 刈払機では無負荷時(草刈作業時), 耕うん機では直進時と旋回時の把持力および各方向の振動の大きさを測定した. (2).手腕系インピーダンスの測定-小型農業機械のハンドル形状は3種類に大別でる(A, B, C). この3種類に加振方向X・Y・Z軸の3方向から正弦波振動を与えたときの加振点インピーダンスを測定したこのとき把持力は5kgfを標準とし, 2倍の10kgf, 1/2倍の2.5kgfの3種類を用いた. 加振周波数は8〜1000Hzで1/3オクターブ間隔で与えた. 被験者は8名である. 3.結果及び考察:(1).刈払機の振動はX軸方向(手の裏表方向)が最も大きく, 耕うん機ではZ軸方向(腕の軸方向)が最も大きかった. 把持力は両機種/全被験者を総合するとおよそ5kgfの値を示し, b.の試験で5kgfを標準とした. (2)把持力が大きい程インピーダンスおよび位相差は大きく, またピークの周波数は高くなる傾向を示した. 低周波域ではY軸方向のホンピーダンスが大きくなった. 5kgfの把持力のとき, 全ハンドル形状, 全方向において, 16Hz前後にインピーダンスのピークがみられた. 前後方向に加振したときは低周波域でのインピーダンスや位相差のピークが大きかった. 全体として, ハンドル形状は, 上下方向の振動が大きい場合Aハンドル, 左右方向の振動が大きいときはCハンドルが望ましい.
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