生産費低減と高度な施肥設計が可能とする単肥の積極的利用を図るためには、物性の異なる肥料の配合が必要となり、作業時の振動、攪拌によって起こる層分化を避けた均一な混合比率での施用が必要となる。 1.供試した硫安、熔燐、塩加の単肥について物理的性質を調査すると、熔燐の粒度は他に比べ特に小さく、実比重が高く、他と混合した時に容器内で下層にもぐり易い特性を有しているとともに、流出速度も高い。 2.3種の単肥を混合し慣行施肥法で施用した時の、作業の進度(容器内残量)によって変る散布比率の変動は、手まき、機械まきと逆の傾向となるがいずれも予想以上のムラとなった。トウモロコシ、大豆で施肥ムラとの関係において生育、収量を調査したところ、特に熔燐過不足の影響が見られた。 3.層分化回避のため肥料毎に繰り出し、その後に混合落下させる方法の分離繰出し型施肥機の開発を行った。この場合、各々独立した繰出し部を配置することになり、通常施肥機の繰り出し部よりも3分の1以下の少量排出の調節範囲で高い精度を要求されることから、各種繰り出し機構部について特性を調べ検討した結果、作用幅を変えて排出量を調節できる羽根車式が高い精度であることを確認した。その上で、試作、供試した羽根車式繰り出し部を組み込んだ3条用施肥機をリッジャーに搭載した形で開発した。この施肥機は1条当たり3個のホッパー及び繰り出し部を有し、合計9組を配置したことで複雑化した嫌いもあるが、作業前の肥料配合、混合作業が不用であることと、各肥料の実際の施肥状態が各ホッパーの残量から確認できるという効果を生んだ。 4.作業現場において繁雑な作業とされる配合・混合作業が省かれ、機械調節によって成分別コントロールが可能となり、単肥の積極的利用が図られれば生産費低減へ果す効果は大きい。
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