1.研究目的 青果物用差圧通風冷却方式における予冷品目の冷却速度と所要エネルギーの関係を理論・実験の両面から考究し、本方式の最適設計法を確立することを研究目的とする。 2.研究計画 (1)実験装置は、産物堆積部、差圧ファン、インバーター、流量測定部から構成し、超音波加湿器を備えた冷蔵倉庫内に設置したものである。(2)キヌサヤエンドウ等数種類の産物について数段階の風速で比較冷却実験を行う。この間の冷却速度と所要電力量を測定する。(3)キヌサヤエンドウは加湿器を作動させて冷却する。(4)実験データと有限要素解析によって最適熱伝達係数を求める。(5)空気を流す方向は、直行型と反転型のいずれが適切かを検討する。 3.研究成果 (1)装置係数を含んだ状態で産物1kgを1℃冷却するのに必要なエネルギーを単位冷却エネルギーと定義した。(2)最小単位冷却エネルギーに対応する空塔風速での冷却は、全冷却エネルギーに対する冷凍機系エネルギーの占める割合を最大に、差圧ファンのそれを最小にすることになった。(3)その時の空塔風速は、いずれの産物堆積層においても0.2〜0.4m/sで、単位冷却エネルギーは、キヌサヤエンドウと温州ミカンは3.2×10^<-3>、ニンジンとバレイショは1.9×10^<-3>、サトイモ1.6×10^<-3>、タマネギ2.4×10^<-3>kwhr/kg℃であった。これらの値は強制通風冷却方式によるよりも小さく、少い電力量で冷却できる。(4)キヌサヤエンドウの予冷中の目減りは加湿しない場合の約3%に対し、した場合は0.6%以下に抑えられた。(5)産物堆積層を冷却する場合の最適熱伝達係数は、温州ミカン20、サトイモ25kcal/m^2kr℃であった。 4.研究の考察と展望 本研究によって実用上のほとんどのデータは得られた。今後精致な学問体系的研究が必要である。5.購入した備品類等はいずれも有効かつ十分に利用された。
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