研究概要 |
本年度は主に固体培地の水ポテンシャル測定について検討した. そのうちで溶質成分によるオスモティックポテンシャル, ゲル化剤によるマトリックポテンシャルそれぞれについては測定が可能となった. その内容を要約すると以下のとおりである. 1.炭素源等の溶質成分によるオスモティックポテンシャルを測定し, 成分濃度との関係を明らかにした. これは従来の研究で得られているものと, ほぼ同様の結果であった. 2.ゲル化剤によるマトリックポテンシャルについては, 半導体圧力変換器を用いた自作の装置により測定が可能となり, ゲル化剤の濃度を数種類に変えてマトリックポテンシャルの測定を行なった. ただし現在までに得られた結果によると, マトリックポテンシャルの値は0〜-1barの小さな値であり, 当初に予定していたサイクロメータによるポテンシャル測定については, 現時点では満足できる精度の測定ができていない. 3.従って, オスモティックポテンシャルとマトリックポテンシャルの加法5の成立については, 次年度の検討課題として残されている. 以上の成果を踏まえ, 次年度ではトータルの水ポテンシャル, 培地の水ポテンシャル分布の経時変化, 溶質や水の移動物性値などの測定を行い, 培地の水環境を動的に把握する予定である.
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