研究概要 |
本研究は沖縄県で栽培が盛んになってきたマンゴ果実に着目し, その流通技術の確立を図るため, CA貯蔵法によるマンゴ果実の追熟制御の可能性を調べるものである. 供試マンゴは久米島産のアーウィン種である. 久米島で植物検疫を受けた後, 4〜5kg詰カートンに入れられ, 航空貨物にて, 研究室に輸送された. CA貯蔵期間は62年8月中旬より同年11月中旬の3ケ月間とし, 貯蔵温度は14±1°Cとした. 貯蔵前後の品質を知るために品質評価に関する実験と, 貯蔵時のガス環境をパラメタにしたCA貯蔵実験の2実験を行なった. 1.品質評価:品質評価項目は糖度, 酸度, 色調, 果肉硬度, 果皮硬度及び食味の6項目とした. 果実の品質は商品性及び食味の観点から総合的に判定したところ, 果皮表面硬度と糖度・酸度比の関係が最も有意であった. 2.CA貯蔵実験:エチレンガスの発生をCO_2が抑制しえるという知見を参考にCO_2濃度を0, 5, 10%に設定(N_2濃度を不変とし, O_2濃度を変化させる)したCA貯蔵条件とした. 商品性又は品質を高く維持したCA貯蔵期間は一ケ月間であった. これは対照区の常温貯蔵や普通冷蔵法の2〜4倍の貯蔵期間であった. 最適CO_2条件は緑熟マンゴではCO_25%, 完熟のものでは10%濃度を必要とした. このことは追熟の進んだものほど高いCO_2分圧を必要としていることを示唆している. CA貯蔵による追熟の抑制は糖度・酸度比の増加が微弱であることより, 生理的には有効であったとみられたが, 果皮硬度が著しく低下しており, 必ずしも十分といえなかった. これは輸送中の品温が高かったことと, CA貯蔵温度がやや高く設定されたことに関連すると考えられた. 以上の結果より, マンゴ果実の収穫適期前後のエチレン発生速度の測定並びに果肉内ガス濃度を測定しておく必要が認められ, 次年度にこの問題を検討して, 追熟制御法の確立を図ることにした.
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