本研究は最近沖縄県で栽培の盛んになっているマンゴ果実のCA貯蔵技術の確立を目途している。第2年度目は果実内細胞ガス組成からみたCA貯蔵条件の検討及びエチレンガス発生量の定量を試みた。とくにエチレンガス発生速度と熟度との関係の把握は追熟を抑制するための指標となるために重要な実験である。さらに、前年度の反省より、貯蔵性の向上のため低い温度の貯蔵における生理障害の有無の検討も行なった。 1.CA貯蔵実験:前年度の実験結果に基づき、CO_2濃度を5%とし、O_25%、N_290%として、緑熟G1と未熟G3の果実を供して、貯蔵温度12I1℃に下げてCA貯蔵実験を行なった。その結果昨年と同様、1ヶ月内の貯蔵を可能にした。表面硬度の低下は昨年よりわずかに減少した。2.果実細胞内ガス組成:減圧法により果実内細胞のガス濃度をガスクロにより測定したところG1ではO_2/N_2/CO_2の順に、20/78/2%で、G3では20/80/0%となり、G3においては外気空気組成のそれと変らなかった。このことは追熟に関してCO_2の抑制が解除されたものと考えられた。3.果実のエチレン発生量:樹上果実のエチレン発生量は指数関数的に増加し、G1を1とするとG2、G3ではそれぞれ2倍、4倍となった。これより長期貯蔵においてはG1又はG1以前の果実を収穫する必要があると考えられた。5.低温障害実験:8〜14℃の普通冷蔵実験を2〜4週間実施して低温障害発生の有無を観測した。他の研究者によって示されていた12℃以下での低温障害発生はみられず、8℃においても低温による生理的障害は観察されなかった。 前年度成果ならびに以上の結果より、マンゴのCA貯蔵においては収穫時の熟度をG1以下に、貯蔵温度を8I0.5℃、CO_2濃度を2〜5%とすることが望ましいと考えられた。
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