研究概要 |
夏分娩のホルスタイン種4頭を使用し, 泌乳20日-50日(I期:エナージ平衡が負)と泌乳90日-120日(II期:エナージ平衡がほぼ±0)に, 成長ホルモンを52IU/日を投与した. 同時に体温, 心拍数, 呼吸数をデータ口に集積し, コンピュータで解析した. また, 尾静脈より経日的に採血を行ない, 血中ホルモン濃度と血中代謝産物濃度を測定した. 研究はまだ経続中であるが, 現在までの結果は以下の通りである. 1.泌乳初期(I期)における成長ホルモンの投与によって, 乳量が2.6±0.8kg/日増加し, 乳糖率は0.3%上昇した. しかし, 乳脂率と乳蛋白率には影響が認められなかった. 一方, 泌乳中期(II期)においては, 成長ホルモンの投与効果が更に増加した. 乳量は4.2±1.2kg/日増加し, 乳脂率が0.2%, 乳糖率は0.5%増加した. 2.成長ホルモンの投与によって採食量は, 有意な影響を受けなかった. 3.成長ホルモンの投与によって, 血中の遊離脂肪酸濃度が増加し, リポ蛋白質濃度が減少した. 4.成長ホルモンの投与によって, 心拍数は増加し, 乳牛の代謝が高進していることが示された. 以上の結果から, 我が国における飼養管理技術のもとにおいても, 成長ホルモンの投与は乳量を増加させることが出来ることが確認できた. また, この成長ホルモンは, 乳牛の体組織の動員, 血液の循環量, 牛体の代謝調節などに関係していることが明らかとなった.
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