目的:本研究では実験動物としてヒツジを用いて、膵臓のS-100蛋白の局在性について免疫組織化学的に調べた。また、腺房中心細胞と腺房細胞の分泌機能との関連を調べるため、飢餓および、Secretin投与、CCK投与のヒツジを作成し、腺房中心細胞のS-100蛋白の動向について調べた。 材料および方法:ヒツジ12頭を2頭づつ、6区に分け、一日一回、ヘイキューブを給餌し、10日間予備飼育した。第1の実験区は給餌後、1時間目に屠殺した。第2の実験区は給餌後、4時間目に屠殺した。第3の実験区は給餌、給水を停止してから7日目に屠殺した。第4の実験区は給餌後20時間目にCCKを筋中に投与し、その1時間後に屠殺した。第5の実験区は給餌後20時間目にSecretinを静中に投与し、その1時間後に屠殺した。第6の実験区は給餌後21時間目に屠殺した。 結果:ヒツジの膵臓のS-100蛋白は腺房中心細胞、導管系の細胞、神経に局在していることがわかった。S-100蛋白の強い反応は腺房中心細胞と神経に見られた。腺房中心細胞、導管系の細胞、神経に局在するS-100蛋白はモノクローナル抗体にってβ型であることがわかった。腺房中心細胞のS-100蛋白の免疫反応は、給餌する前に最も強く、給餌後に免疫反応が減少する傾向が見られた。飢餓のヒツジはS-100蛋白の反応が強く、給餌前のCCK投与は腺房中心細胞のS-100蛋白の免疫反応に変化がないこと、給餌前のSecretin投与は腺房中心細胞のS-100蛋白免疫反応を減少させることがわかった。腺房中心細胞の微細構造は飢餓、CCK投与、Secretin投与のヒツジのいずれも変化が少なかった。
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