研究概要 |
1.マウスにおける連続採決技術の開発:マウス(体重約35g)に右頚静脈からシリコンチューブを装着し右心房から連続採血することに成功した. 血中コルチコステロン濃度を指標として本法によるストレスの影響を検討した結果, 術後1日経過し, 採血量50μlでは5分間隔で8回, 10μl24時間間隔で2週間, さらに500μlで10日間の採血は全く影響がないことを確認した. 2.泌乳妊娠動物の効率的作出法の検討(泌乳妊娠時の黄体機能の検索):(1) 泌乳及び泌乳偽妊娠(後分娩発情時に交尾刺激を与えた)マウスの泌乳各期に, 4日胚を移植して吸乳を継続させ, 12日後に剖検して妊娠率を比較した. 両群とも同様に泌乳4〜6日での移植で妊娠率が最も高く, 泌乳10〜12日移植では著しく低下した. 次に泌乳5日目に胚移植し吸乳を継続した場合には両群とも妊娠率は高かったが, 胚移植後に吸乳刺激を除去した場合には, 泌乳群では妊娠率が低下したのに対し, 泌乳偽妊娠群では高く維持され, 交尾刺激の黄体機能持続効果が示唆された. (2) 泌乳, 泌乳偽妊娠, 泌乳妊娠及び妊娠マウスの各期の黄体機能を, 単離黄体細胞の培養時(3時間)のプロゲステロン(P)生産能により比較した. 基本培地並びにLH2μg/ml及びプロラクチン(PRL)10μg/ml添加の効果を調べた. 泌乳群では泌乳前半で, 妊娠群では妊娠後半でP生産が比較的高く, LHはP生産を増強した. 泌乳妊娠群では前半10日までP生産は高く12日に低下したあと後半に増加したがLHの効果は顕著でなかった. 泌乳偽妊娠群ではP生産は4日と14日で高かったが初期は泌乳群と同等であった. PRL添加はどの群で効果がなかった. (3) 泌乳及び泌乳偽妊娠群の血中P濃度はいずれも5〜7日にピークを示した. 結論 泌乳初期における胚移植は泌乳妊娠動物の効率的作出に有用であるが, 着床の同期化を含めて内分泌循環のより詳細な解析が必要である. さらに培養黄体細胞数の標準化が検討課題である.
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