研究概要 |
(1)前年度よりの泌乳5、15、20日のラットにおける1日24時間を通してのプロラクチン(PRL)分泌動態を追う実験を続行、データの集積に務めた。その結果、乳期進行に伴うPRL分泌減少、子の吸乳とPRLサーシ出現の間の不対応については結果に変りはないが、集積したデータを新たな視点から解析することにより、少なくとも泌乳初、中期においては1日の時刻帯とサージ出現頻度対応のあることを見出した。こうした日内変動と吸乳頻度にも関係はなく、明暗リズムあるいは母体内代謝リズムと関係したものと解される。(2)同じく前年度にひき続き、脂肪組識除去については手術後、イソプロテレノール投与については投与量を変更、実験を行い、前者では結果に変りがなかったものの、後者では有意のPPL分泌減少をみた。コルチュステロン分泌には影響がなく、PRL分泌に特異的なものと考えられるが、やはり脂肪苗積量に変化がなかったため、当初考えた脂肪動員ーPRL分泌の確証とはまだ言えぬが、これを示唆する結果とは言える。今後さらに血中脂質の動態、脳内への薬物投与等を加え追求する予定である。(3)乳期進行に伴うPRL分泌減少について、これが下垂体PRL合成、放出能の低下によるものか、視床下部等におけるPRL放出調節機構の変化によるものかを明らかにするため、泌乳5,15日の正常哺乳状態および乳子除去4,16時間のラットに抗ドーパミン剤(スルピリド)およびTRHを投与、それらによるPRL放出量を比較した。また、下垂体PRL含量測定も行った。その結果、薬物投与時のPRL放出量、下垂体含量には差がないか、むしろ泌乳15日で高い値が得られ、乳期進行に伴うPRL分泌減少の原因は、視床下部ないしこれに至るPRL放出調節機構の変化にあると結論された。その変化の動因を(1),(2)の問題と絡め今後追求したい。
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