研究概要 |
設備備品であるワーリングブレンダーの使用条件を検討したところ, 試料量(25〜250ml), 回転刃の速度(6200〜14700rpm), 処理温度(10〜50°C)は遊離脂肪酸生成量(リパーゼに対する感受性に依存)で示される均質化効果に影響がなかった. 処理時間を延長しても効果の増大はみられず, 2分間で充分であった. なお, 脱脂乳を同様に処理した結果, 50°Cまではリパーゼ活性に差がなかった. 一方, 均質化効果におよぼす脂肪含量の影響は著るしく, 軍位脂肪当り遊離脂肪酸生成量は脂肪率25%の場合にくらべ5%では5倍であった. したがって, 脂肪分解程度の高いクリームを得るには均質化後に分離する方がよいことになるが, 分離操作における脂肪の収率, 水溶性脂肪の分布も考慮し検討する必要がある. 生乳からクリームをセパレーターにより調製する場合, 分離温度は, 30〜40°Cの間でクリーム冷蔵中における遊離脂肪酸生成量に大差はなかった. 保存温度を変えると(0〜20°C), 遊離脂肪酸増加量は低温の方が若干高いが, 均質化すると保存温度の上昇にともない大きくなり, 24時間保存では, 20°Cは0°Cの場合の3〜4倍に達した. 40°Cまで高めても同様に増大した. 均質化して冷蔵した場合, 初期における遊離脂肪酸増加が大きく, 1時間以内における増加はその後の1時間にくらべ5倍であった. 温度処理, 泡立処理は均質化にくらべ遊離脂肪酸を増加させる効果は少なかった. 殺菌均質化クリームにリパーゼ源として脱脂乳やカゼインミセルを加えた場合, 添加量の増大に伴い遊離脂肪酸生成量は増大するが, 反応初期の生成量が多いので追加添加してもその効果が比較的小さいと思われた. バターオイルに脱脂乳やカゼインミセルを加え, ワーリングブレンダーで乳化しながら冷却し, 油中水滴型エマルジョンとした場合, 遊離脂肪酸の増加はみられず, レシチンを添加しても同様であった. 処理条件をさらに検討中である.
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