研究課題/領域番号 |
62560288
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
谷口 和之 岩手大学, 農学部, 助教授 (70148089)
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研究分担者 |
藤井 克己 岩手大学, 農学部, 助教授 (30134513)
内藤 善久 岩手大学, 農学部, 助教授 (40003785)
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キーワード | 鰓原器 / 甲状腺 / 上皮小体 / C細胞 / 画像解析 / 免疫細胞化学 / カルシウム代謝 |
研究概要 |
甲状腺、上皮小体、胸腺、口蓋扁桃および鰓後体は発生学的に鰓〓に由来し、鰓原器と総称されているが、このうち特に甲状腺のC細胞、上皮小体の主細胞はパラニューロンと呼ばれる特殊な内分泌細胞の一種でそれぞれカルシトニン(CT)およびパラソルモンを分泌し、カルシウム代謝に関係するといわれている。本研究はこれらパラニューロンの発生と機能を形態学的、生理化学的に解明することを目的としているが、本年度は研究計画の第2年度に当たっており、前年度に開発した、画像解析装置を有効に使用するための新しいプログラムを用いて種々の形態計測学的研究を行った。まずラットをビタミンA(VA)欠乏飼料で飼育してその下垂体TSH細胞、甲状腺濾胞上皮細胞、CT分泌細胞の変化を免疫細胞化学的ならびに形態計測学的に分析したところ、下垂体前葉のTSH細胞はVA欠乏によって著しく増数肥大し、単位面積当たりのTSH細胞の面積は対照群では12.70%であるのに対しVA欠乏群では16.71%と有意に増加した。また甲状腺における濾胞腔の面積は対照群が27.24%であるのに対しVA欠乏が甲状腺の機能減衰をもたらし、そのネガティブ・フィードバックによって下垂体前葉のTSH細胞が増加したことを示唆する。一方、甲状腺のCT細胞の面積は対照群が15.92%であるのにVA欠乏群では17.30%と有意に増加したが、その原因は不明であった。次に、ユビナガコウモリの下垂体前葉におけるTSH細胞の増減を妊娠、泌乳および冬眠との関連においてやはり免疫細胞化学的ならびに形態計測学的に分析した結果、TSH細胞が冬眠器で正常状態に比べて有意に増加することが明らかになった。このことは冬眠期に甲状腺の機能が低下し、そのネガティブ・フィードバックによって下垂体前葉のTSH細胞が増加したことを示唆するものと思われた。
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