研究課題/領域番号 |
62560288
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎獣医学
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
谷口 和之 岩手大学, 農学部, 助教授 (70148089)
|
研究分担者 |
藤井 克己 岩手大学, 農学部, 助教授 (30134513)
内藤 善久 岩手大学, 農学部, 助教授 (40003785)
|
研究期間 (年度) |
1987 – 1989
|
キーワード | 鰓原器 / 甲状腺 / 上皮小体 / 鰓後体 / パラニュ-ロン / カルシウム代謝 / 画像解析法 / 免疫組織化学 |
研究概要 |
甲状腺、上皮小体、胸腺、口蓋扁桃および鰓後体は発生学的に鰓嚢に由来し、鰓原器と総称されているが、このうち特に甲状腺のC細胞、上皮小体の主細胞はパラニュ-ロンとよばれる特殊な内分泌細胞の一種でそれぞれカルシトニン(CT)およびパラスルモン(PTH)を分泌し、カルシウム(Ca)代謝に関係するといわれている。本研究ではこれら鰓原器内パラニュ-ロンの発生と機能を形態学的、生理化学的に解明することを目的として免疫組織化学、画像解析、ラジオイムノアッセイなどの手法を用い、各種哺乳動物において個体発生、妊娠とビタミンD(VD)投与との関係、妊娠と低Ca、低VD飼料との関係、低ビタミンA(VA)飼料が下垂体-甲状腺系、下垂体-性腺系に及ぼす影響、下垂体前葉細胞の加齢、妊娠、冬眠における変化などについて検索を行なった。まず画像解析法ではトスピックス(東芝製)を用いた新しいプログラムを開発し、形態学的試料を数値化して統計的に処理することを可能にした。この画像解析法は本件給では各種実験における甲状腺、上皮小体の体積、甲状腺C細胞の総体積、下垂体前葉の各種内分泌細胞の面積比の計測などに応用され、低Ca、低VD飼料で飼育したラットでは上皮小体の体積が著しく増加すること、VA欠乏ラットで下垂体前葉のTSH細胞の面積比が有意に増加すること、冬眠期にユビナガコウモリの下垂体前葉のTSH細胞の面積比が有意に低下することなどを統計学的に明らかにした。またゴ-ルデン・ハムスタ-を用いた個体発生学的研究では甲状腺、鰓後体は胎齢9日、上皮小体は胎齢10.25日に出現するが、鰓後体は胎齢12日に甲状腺と癒合し、CT免疫陽性細胞は鰓後体由来甲状腺組織内に出現することなどを証明した。以上より、本研究によって鰓原器内パラニュ-ロンの発生学的詳細と、そのCa代謝における役割の一部を形態学的、生理化学的に明らかにすることができた。
|