1.ワラビ配糖体であるBraxine A1(B-A1)のヒスタミン遊離作用に関する研究。B-Alの毒性発現機序う明らかにする目的で、ラット腹腔肥満細胞に対するそのヒスタミン遊離作用について検討した。(1)単離した肥満細胞をB-A1(3×10^<-3>g/mlとリンゲル液中でO℃で10分間、インキュベートしたのち薬物を含まないメジウムで洗滌して薬物を除去しても、その後37℃でインキュベートするとB-A1のヒスタミン遊離作用の大部分は再現した。(2)しかもその作用は0℃でのB-A1とのプリインキュベーション時間(0〜10分間)に比例して増加し、またそ傾向は無機イオンの欠除した等張ブドウ糖溶液を用いても影響されなかった。このような成績はCompund 48/80(10^<-5>g/ml)、×537A(5×10^<-5>g/ml)のいずれの対照薬によっても得られなかった。(3)破壊した肥満細胞より分離したヒスタミン含有顆粒標本をB-A1(3×10^<-3>g/ml)と糖張グルコース溶液中で37℃で0〜30分間 、インキュベートすると、ヒスタミン遊離は時間の経過とともに急激に増加し、その増加速度は肥満細胞標本にとけるよりも急峻であった。以上の成績から、B-A1はCompound 48/80の様に細胞表面の特定の受容体を介することなく、肥満細胞内へ取り込まれて細胞内顆粒に直接作用することによりヒスタミンを遊離させることが示唆された。 2.ワラビ地下茎よりの毒性物質の単離に関する研究。モルモットに対する催血尿性を活性指標としてワラビ地下茎メタノール抽出物より毒性物質の単離を試みた。本研究では液滴向流クスマトグラフィーなどによる以前の方法に加えて分離用および分析用HPLCを併用した。その結果、B-A1及びA2以外にも活性のある画分が得られ、HPLCにおいて2ピークに分離し、溶出順にBraxin B、Cと仮称した。なおCは山田ら(1987)のプタキロサイドと一致した。
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