研究概要 |
サル, ウサギ, モルモットおよびラットの回腸縦走筋における高K+収縮に対するLi^+置換液の影響について比較検討した. 栄養液中のNa+の一部を等モルのLi^+に置換することによって, いずれの動物の回腸縦走筋における高K+収縮は時間の経過に従って抑制され, その抑制硬化は置換したLi+の濃度に依存して増加した. また, この時の細胞内Li^+量も置換したLi+の濃度および時間の経過に従って増加した. さらにいずれの動物種においてもLi+による高K+収縮の抑制率と細胞内Li^+量との間に高い相関が得られた. サルおよびラットの回腸縦走筋における高K+収縮はモルモットおよびウサギのそれに比して, より少ない細胞内Li^+量で抑制されることから, 細胞内Li+量による高K^+収縮の抑制効果に動物種差が存在することが示唆された. 各種動物の回腸縦走筋において, 細胞内Na^+量による高K^+収縮の抑制硬化に同様な動物種差が認められ, Li^+による抑制に対して感受性の高い動物種においてはNa^+による抑制に対しても高い感受性を示し, 両者間には高い相関関係(δ=0.963)が得られた. 以上のことから, 細胞内Li^+量による高K+収縮の抑制効果は, 細胞内Na^+量によるそれと類似した作用機序による可能性が示唆された.
|