研究概要 |
筋・血管系の形態機能について実験をおこない, 次のような成績を得た. 1.筋腺維のアクチンフィラメントの長さとZ帯の幅との関係:家兎の心筋および大腰筋を用いてグリセリン筋を作製し電顕的に検索した. アクチンフィラメントの長さは大腰筋より心筋の方が長く, Z帯の幅も大腰筋より心筋の方が広かった. また, 大腰筋, 心筋ともアクチンフィラメントの長さはZ帯の幅が広くなるにつれて比例的に増加していた. 2.α-アクチニンの量とZ帯の幅との関係:家兎の心筋および大腰筋の分子構築について電顕および電気泳動法によって解析した. α-アクチニンとアクチンとの比は大腰筋より心筋の方が大きかった. また, Z帯の主要な構成蛋白質であるα-アクチニンの量はZ帯の幅が広くなるにつれて比例的に増大していた. 3.筋腺維の接着装置:フリーズ・レプリカ法を用いて標本を作製し, 電顕的に検索した. 家兎の筋腺維の接着装置にはギャップ結合(ネクサス), デスモゾーム, 接着域などが存在することが分った. 3.牛の生殖器血管の組織化学的検索:卵巣内の動脈および卵巣動脈について光顕的に検索した. 卵巣内の動脈の変化は子宮動脈のそれと比べて軽度であった. また, この動脈の変化と経産回数の増加との間に密接な関連性がみられなかった. 経産牛の卵巣動脈の肥厚部と中膜内層で酸性ムコ多糖が多量に観察された. 4.牛の卵巣内のS-100陽性細胞:PAP法を用いて牛の卵巣内のS-100陽性細胞について検索した. 卵巣内の動脈, 毛細血管, リンパ管の内皮細胞, 卵母細胞および卵巣網にS-100陽性細胞が検出できた. 5.牛の第1胃の絨毛形成と上皮下血管網形成との関係:46例の牛胎仔を用いて光顕および電顕的に検索した. 毛細血管網の形成は上皮下, 粘膜固有層および上皮層の順におこなわれていた. 毛細血管網が最初に立ち上がるのは上皮下で, 2層の毛細血管網の間の連絡枝のある部位であった.
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