1985年より1989年(1987年を除く)までの4年間にわたる横浜港での調査により合計129匹の野生ハツカネズミの材料を7箇所の埠頭より採集した。9例の陽性例が認められた(7.0%)。陽性例の認められたのは1985年、1986年のみであった。1985年は31匹の内6匹(19.4%)、1986年には23匹の内3匹であった(12.5%)。またこれら陽性ネズミの採集された場所は大桟橋ー新港埠頭、本牧埠頭に限られていた。大桟橋ー新港埠頭では1985年、1986年に捕獲された17匹の内7匹(41.2%)が陽性であり、本牧埠頭では同時期に23匹の内2匹(8.7%)が陽性であった。陽性9例の内5例は同一の倉庫で同時に捕獲された者である。この結果より横浜港に於けるLCMの侵淫は場所的にも、時間的にも限局したものであることが認められた。 横浜港は古くより国際貿易港として知られている。LCMウイルスが船の積荷と共に外国より持ち込まれた可能性は否定できない。わが国でヨウシュハツカネズミが生息すると考えられる小笠原群島の父島に於いて調査を行い、計82匹のハツカネズミを6箇所の調査地点で捕獲したが何れも陰性であった。 一方、わが国固有のアカネズミ、ヒメネズミに於けるLCMウイルス、または類似ウイルスの存在を調べるために千葉県、静岡県に於いて捕獲されたアカネズミ計447匹、ヒメネズミ49匹について検査を行った。アカネズミに2匹のIFA試験で陽性が認められたが確認は出来なかった。
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