研究概要 |
初生子牛ウィルス性下痢症の予防・早期治療のため, 免疫グロブリン(以下Igと略記)による受身免疫に加えて, 同時にインタフェロン(以下IFNと略記)をも併用する方法を試行した. 初生子牛16頭を用い, 同日(又は近日)生まれの子牛4頭宛を1組とし, それぞれ次の4区に割りつけた. I区:無処置対照. II区:Ig単独. III区:IFN単独. IV区:IgとIFN併用. これらの子牛は4区何れも, 出生後30分以内にプール初乳1lを飲ませ, 試験処置以外は同一の条件で, 個別的にカーフハッチ内に飼育し, 21日令まで観察して下痢の発生状況を比較した. この間飼養・治療その他は平常通りに行なった. Igはプール初乳を限界濾過で濃縮した蛋白分画の製品を用い, 2日令〜14日令の間は15g/日, 15日令〜21日令の間は30g/日を, 牛乳または代用乳に混じて経口投与した. IFNは牛由来α1の試作品を用い, 1日おきに2mlづつ計4回, 頚部の筋肉内に注射した. 各区4頭づつの下痢発症を集計した結果は, I区:4頭, II区:1頭, III区:2頭, IV区:2頭であり, Ig単独投与がよい成績を示した. III区の1例は肺炎で死亡したので, 剖検および原因検索を行なったところ, Actinomyces pyogenesによる膿瘍であり, IgおよびIFNの適応症の範囲外であることが判明した. さらに下痢便の病原体検索(ウィルス, 細菌, 原虫), および7日令に採血した子牛血清中のIgおよびIFNの定量について, 現在実施中である. これらの検討結果をふまえて, 次年度は大規模の野外試験を行なう予定である.
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