平成元年度は乳腺細胞の恒常的増殖を獲得するための手段の一つとして、コラ-ゲン・ゲルを用いた培養法とインタ-セルを用いた乳腺上皮細胞と乳腺線維芽細胞の非接触同時培養を行った。一方、導入するゲノムDNAあるいはcDNAの精製を行う第一段階としてウマのカルシトニン遺伝子およびカルシトニン関連ペプチド遺伝子を検索した。 先ず山羊乳汁由来乳腺上皮細胞前年度のコラ-ゲン・ゲルを用いた実験で、ゲル内に包埋した上皮細胞は増殖しないという結果をえたため、乳腺上皮細胞の増殖分化には間質線維芽細胞の関与が重要な要素となっているのではないかと言う推測のもとに、線維芽細胞の培養上精添加と同細胞との非接触同時培養を行って比較した。その結果、培養上精は50%混合するのが乳腺上皮細胞の増殖に良好な結果を与えたが、非接触同時培養のほうがより良い結果を得るということが判明した。 一方、ゲノムDNAの精製に関してはヒトのカルシトニン遺伝子およびカルシトニン遺伝子関連ペプチド遺伝子を用いて、馬の精巣ゲノムDNAの同遺伝子群について解析した。その結果ヒトとウマでは同遺伝子群に構造上の相違が有ることが示唆され、更にサラブレッド種においては比較的均一に同遺伝子が保存されている事が判明した。
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