研究概要 |
1.凍結割断レプリカ法によるシナプス受容膜構造の観察 (1)アフリカツメガエル脊髄にみられるS,F,C型の各シナブス受容膜の構造についてはすでに報告しているが, さらに双面レプリカ法により, それぞれのシナプス後膜のP面およびE面に特異的な膜内粒子の集合がみられることを明らかにした. (2)コリン作動性シナプスとして知られるウシガエル, ニワトリおよびモルモットの副腎クロマフィン細胞のシナプス受容膜が, それぞれ類似した膜内粒子の分布様式を示すことを明らかにし, これらの膜内粒子がAchの受容体と密接な関係を有する構造であることを示した. (3)ニワトリ毛様体神経節にみられるシナプスにおいても, 上述のコリン作動性シナプスにおけると同様な膜内粒子の集合がシナプス後膜のP面に認められた. このシナプスは同時に電気シナプスとしてのギャップ結合を混在させるが, コネクソン粒子の代謝機構に関与するとみられる特殊な裏打ち構造がギャップ結合領域に特異的に存在することを明らかにした. 2.エッチング法によるシナプス受容膜の観察 メタノールを凍害防止剤として用いる方法により, 上述の種々のシナプスにおけるエッチング像の改良を試み, 最近どうにか安定した像が得られてきたが, シナプス受容膜の真の表面構造の解析はまだ十分に行われておらず63年度の課題として残されている. 3.免疫電顕法にるシナプス伝達物質の同定 抗GABAおよび抗Ach抗体を用い, アフリカツメガエル脊髄の3型のシナプスやヤツメウナギ網膜にみられる種々のシナプスにおける伝達物質を同定する実験を開始したがまだ十分な成果は得られておらず, 63年度の中心課題として研究を進める予定である.
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