研究概要 |
成熟ラクトを用いて, 62年度の研究を遂行した. 光学顕微鏡レベルでのアンギオテンシノーゲン(ANG)の局在に関しては, 凍結乾燥エポン包埋標本で, 脱エポン後, 抗ANG抗体を用いて免疫染色を行った. この方法では, 切片が薄いため(0.5-1μm)通常の顕微鏡では観察しにくいが, 本年度の科学研究費により購入した1マルスキー微分干渉セットを現有する顕微鏡に取り付けることにより, 非常に改造力の良い像を得ることが出来るようになった. この方法で, 正常例と, 腎摘出コルヒチン処理ラットより得た例とを比較した. 結果および検討中の課題は下記の点である. 1.正常例では免疫反応が弱く, ほとんど細胞内局在を認め得なかった. 2.しかし, 24時間内の6時点で, 肝の凍結乾燥標本を作成し, ANG免疫反応を施してみると, 暗期の終りから明期の初めにかけて, 反応陽性物質が増加することが分った. 3.細胞内局在に関しては, 現在検討中である. 電子顕微鏡レベルの免疫反応では, 像の保存性を考え, 金コロイド法を用いて行っているが, 反応が弱く, 一定した結果が得られていない. 現在, さらに反応の特異性を持たせる目的で, ラットANGを精製し, 単クローン抗体を作成中である. また, 本学にペプチド合成機が本年度中に入る予定であることから, ANGの部分合成ペプチドを作成し, この単および多クローン抗体を作成することを検討中である. 4.ANGmRNAの局在については, PEG標本, 凍結切片-パラフォルムアルデヒド固定標本のいずれでも, ANGmRNAのシグナルを得ることが出来た. 正常例では銀粒子の沈着は極く少なく, 腎摘出により多少増加することが分った. しかし, cDNAプローブを用いると非特異反応も多い. 現在, 合成プローブを作り, cDNAを使用する場合と, また, 3H標識dTTPと^<35>SdCTP標識とではどちらが良いか検討中である.
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