研究概要 |
1.上皮細胞におけるアクトミオシン系構造の局在 ラット腎臓の尿細管上皮細胞についてアクチンフィラメントの分布, 配列を電子顕微鏡的に, アクチン, ミオシンおよび関連蛋白質の局在を免疫組織化学的に分析した. アクチンフィラメントの分布は尿細管の部位によって差があった. 近位尿細管では上皮細胞の刷子縁を含む内腔側細胞質と基底側に分布し, 遠位尿細管では基底側に明瞭な集合束が認められた. 基底側の集合束は細胞膜に密接し, 管軸に対し横方向に並んでいた. 抗アクチン抗体による蛍光抗体法で見ると, 近位尿細管では内腔側のみ染まるのに対し, 遠位尿細管では内腔側および基底側ともに強染していた. 血小板ミオシンに対する抗体は近位尿細管をほとんど染めなかったが, 遠位尿細管はよく染まり, とくに内腔側に強い染色性が認められた. ヘンレ系蹄および集合管も抗ミオシン抗体で内腔側が染まっていた. このようにミオシン局在はアクチンのそれとは必ずしも一致しなかった. さらに異なるミオシン抗体についても検索を進めたい. 2.胚発生におけるアクトミオシン系構造の局在 ショウジョウバエ初期胚における細胞区画化は表面細胞膜が変入し, 表層核をとり囲むことによってなされる. 電子顕微鏡にて変入先端部の細胞膜直下に明瞭なマイクロフィラメント層が観察された. このフィラメントはH-メロミオシンと反応して矢じり構造をつくることからアクチンフィラメントと同定した. 区画化の最終段階で, 変入先端に輪状のアクチンフィラヘメント束が明瞭になった. 一般細胞の細胞質分裂における収縮環に類似した構造と考えられる. 今後, この輪状束がミオシンを含有し, 一種の収縮環として機能するかを検索していきたい.
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