研究課題/領域番号 |
62570008
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山本 正夫 広島大学, 医学部, 講師 (00109399)
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研究分担者 |
松本 晶子 広島大学, 医学部, 助手 (50209623)
片岡 勝子 広島大学, 医学部, 教授 (30034002)
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キーワード | 小腸 / 膵臓 / フリースフラクチャー法 / 超薄切片法 / 発生 / 細胞の分化 / ギャップ結合 / 器官培養 |
研究概要 |
ラットの胎仔から成獣の小腸と胎仔膵器官培養標本を超薄切片法とフリーズフラクチャー法により電顕観察し、以下の結果を得た。 1.胎生期小腸は上皮内腔の連結により腸絨毛が出来るが、細胞質内に多数の微絨毛を含む細胞質内腔が形成され、これも、急速な上皮内腔の形成に関与する。また絨毛形成期(胎生17-18日)に微絨毛も急速に増加し、細胞内器官も成獣に近くなる。ギャップ結合はこの吸収上皮の分化に一致して出現し、成長するにつれ出現部位は腸上皮細胞の分化と増殖の場である腸陰窩に限局するようになる。 2.微絨毛の形成様式 a.胎生13-16日の未分化細胞領域と陰窩に見られる様式で、微絨毛が横に寝た状態の膨隆が立ちあがる。また微絨毛が縦に伸びだす。 b.胎生15-19日に見られる様式で細胞質内腔内に形成され、上皮内腔に融合して腺腔内に現れる。 c.胎生18日-成獣の分化した上皮細胞の見つかる様式、長い微絨毛が横に太くなり、縦に二分する。 3.膵器官培養標本 a.胎生13日-18日の間培養した膵組織は生体中とほぼ同じ時間経過で分化を起こす。胎生17日(培養4日目)チモーゲン顆粒が生産され始め、同時にギャップ結合も急速に大きくなる。その際前駆大粒子が散在生または六角形配列をなしてギャップ結合に付属するようになる。 b.培養液からの成長因子の除去 インシュリンとトランスフェリンを除いた培養液を用いた結果はコントロールと全く同じで、正常に腺房細胞の分化を生じた。従って腺房細胞の分化にホルモンは関係しない可能性がある。 c.蛋白合成阻害剤の効果 胎生15日目からサイクロヘキサマイドを用い蛋白合成阻害を行なった。ギャップ結合、チモーゲン顆粒の生産は強く抑制され、大部分の細胞は分化前の状態を維持した。 d.コルヒチン、アクチノマイシンDの効果 両者の投与により極めて強い細胞変生が生じ比較検討出来なかった。
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