研究概要 |
消化管のうち, 主に胃底腺と結腸に焦点を合せその複合糖質の組織化学的研究を行なって来た. このうち胃底腺に関しては, 特に副細胞に焦点を合せ種々研究しているが, この粘液細胞顆粒はGSA-IIレクチン, HPAレクチン, PNAレクチン, RCA-1レクチンにコロイド金を標識したコンジュゲートで瀰慢性に染色され, 一方主細胞はこれらいずれのレクチンコンジュゲートによっても染色されない事が確認された. PAS反応の電顕レベルでの染色であるPA-TCH-SP染色でも副細胞顆粒は瀰慢性に染るが主細胞顆粒は染色されない. 副細胞と主細胞の中間域に二相性構造を有する顆粒を持つ細胞が存在し, レクチンコンジュゲート, PA-TCH-SP染色共, その顆粒の電子密度の低い部を染める. また, これら三種類の細胞にはペプシノーゲン活性が免疫細胞化学的に証明されている事を踏え, 我々は副細胞が主細胞の前駆細胞であるとの結論に達した(解剖学雑誌 63:11-18,1988). また, 発生学の立場から胃底腺の副細胞を追求するとHPALレクチン同様GSA-IIレクチンがこの細胞のマーカーとして, この細胞の分化を追求するのに適している事が判明した(Am.J.Anit修正稿投稿中). 一方, 結腸では近位結腸の腺底部粘液細胞がよく発達したゴルジ装置を有し, terminal glycosylationの場をコロイド金標識レクチンで追求するよりモデルとなりうる. LowicylK4M包埋の超薄切片に染色を試みるとeisからtransに向ってSBAレクチン, PNAレクチン, UEA-1レクチン, LFAレクチンと云った一定の標識場所が見られ, turminal glycosylationの様式が解明できた. 我々の仕事は第92回日本解剖学会総会(1987,4), 第72回日本電顕学会シンポジウム(1987,10)でシンポジストに選ばれた他, 第8回国際組織細胞化学会のミニシンポ(1988,8), 第33回日本電顕学会シンポジウム(1988,10)でもシンポジストに内定する等国内外からも客観的評価を受けていると考えている次第である.
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