サカナ、カエル、ヘビ、ニワトリ、ラット、マウス、ネコ、ヒト、の骨格筋におけるアセチルコリン受容体(AChR)の分布を調べ、系統発生学的な研究を一応完結させた。そのうちの幾つかの種に関しては、神経切断実験および神経移植実験を繰り返し、次のような結論を得ることができた。 (1)筋肉それ自体、すなわち神経支配がない状態におかれると、筋肉は自律的にAChRを豊富に作り出す。この余計なAChRは筋細胞上に特別な形で多数円形に分布するのが普通である。 (2)神経には筋細胞の接触部位のみにAChRを分布させる作用がある。つまり、神経は上述の円形のAChRを消失させる一方、接触部位にAChRを集める、という二重の役割を果している。 以上のように、筋細胞のAChRの分布は神経の二方向的な制御をうけていることを明かにした。
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