研究概要 |
1.ウサギの血小板と巨核球について検討して次の結果を得た。(1)血小板の母細胞である骨髄巨核球について,^3Hで放射性標識した各種ペプチドの取り込み能について光顕オ-トラジオグラフィ-で実験した。5μCi/mlのアイソト-プを含む培養液で37℃60分間in vitroで培養したものでは、血管収縮性ペプチドであるアンジオテンシンIIを巨核球は強く取り込んだ。さらにバゾプレシンを僅かに取り込んだが、ニュ-ロペプチドYやP物質は取り込まれなかった。エンケファリンは巨核球に取り込まれたが他の骨髄の血球も取り込んだので、特異的ではなかった。(2)電顕オ-トラジオグラフィ-で巨核球に取り込まれたアンジオテンシンIIとエンケファリンの局在について超微構造のレベルで検索した。アンジオテンシンIIは細胞質と核に広く分布していたが、エンケファリンは核に主として局在していた。(3)血小板については、多血小板血漿を作成し、巨核球の実験と同じ条件でアイソト-プを加えて電顕オ-トラジオグラフィ-で検討した。血小板はアンジオテンシンIIを取り込み、しかも濃漿果粒に貯蔵することが明らかになった。P物質やエンケファリンは取り込まれなかった。ニュ-ロペプチドYは微かに標識される血小板も有ったが、さらに検討を続ける必要がある。以上、ウサギの血小板と巨核球はアンジオテンシンIIを取り込み貯蔵することが明らかとなった。 2.下等動物の栓球について電顕オ-トラジオグラフィ-で検討した。(1)まず栓球はアミン系も取り込むか否か明らかでないので、^3H標識ドパミンの取り込み能についてニワトリと食用ガエルについて実験し、ニワトリは取り込むがカエルは取り込まないことを明らかにした。(2)^3Hアンジオテンシンはカエルは取り込まなかったが、ニワトリは微量取り込んだ。ドパミンに比べてアンジオテンシンの取り込まれかたは非常に弱いことが明らかとなった。
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