研究概要 |
体重約200gの雄のウィスター系のラットを回避(A)群とYoked-control(Y)群に分けてA群に対し回避学習を行わせ, 回避学習が成立したと思われる時点において学習行動中の動物に〔14C〕2-Deoxyglucose(2-DG)を注入し, これらの群における脳内の種々の部位での2-DGのとり込みの差を検討すると共に条件づけ中の行動も観察した. 条件刺激はブザー音, 無条件刺激は250kΩの抵抗を介した125Vacのグリッド床からの電撃であった. 条件づけは試行80回のものと160回のものの2つに分けて行った. すなわちそれぞれについて6匹ずつのラットをA群とY群に分け, 2(A群・Y群)×2(80試行・160試行)の要因配置のもとに実験をした. 条件づけ試行は1日40回とし2日(80回)あるいは4日(160回)間行った. 最初の2日あるいは3日では日内および日間共に平均回避回数は増加し, 反応潜時は短縮した. ただA-160群における4日目では同様の傾向がみられたものの回避回数の増加率と反応潜時の短縮率は何れも鈍化した. この結果, このパターンで条件づけを行う限り, 試行80〜120回で条件づけが最もよく出来ると考えられた. 次に2-DG法オートラジオグラフにおける条件づけによるglucoseのとり込み増加部位についてであるが, これに関してはまだデータが揃っていない. しかし今までに分ったA-80とY-80およびA-160とY-160の条件を全く同一にした1対づつの成績を比較すると, 何れの場合もA群の方が強いとり込みを示した. また両試行回数群共にA群でY群よりも強いとり込みを示した部位は乳頭体と視床内側核であった. またA-80とY-80との比較で強いとり込みを示した部位は帯状回, 視床の前後, 外側核および視蓋前域であった. 歯状回は試行160の場合A群でY群よりも強いとり込みを示した.
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