研究課題/領域番号 |
62570029
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経解剖学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
佐藤 明直 広島大学, 医学部, 講師 (80034007)
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研究分担者 |
松井 浩二 広島大学, 医学部, 助手 (80183945)
仲村 春和 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (90079690)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | ニワトリーウズラーキメラ / 分化 / 可塑性 / 網膜 / 視蓋 / 投射 / 蛍光色素 / モノクローン抗体 |
研究概要 |
脳の分化の可塑性を追究するため、8ー10体節期のウズラ前脳胞の背側をニワトリ中脳胞に移植すると、移植片は中脳視蓋様の層構造をとった。このような視蓋に視神経が投射しているかどうかを見るために、ニワトリ神経線維を特異的に染めるモノクローン抗体で免疫組織化学を行うと、移植片にも視神経線維が侵入していることが明らかになった。 前脳胞から移植された視蓋が網膜のどの部分からの投射を受けるかはたいへん興味のある問題である。この問題の解決のために、63年度は網膜線維を局所的にラベルする蛍光色素DIを用いて、網膜後部から視蓋への投射形成過程を研究した。 発生を追って網膜ー視蓋投射を観察すると、孵卵9日では網膜後部からの線維は視蓋上で目的地と思われるところをはるかに越えて分布しており、内ー外則にも幅広く分布していた。孵卵12ー14日はたくさんの側枝、arborizationが見られた。Arborizationは目的地だけでなくさらに尾方にも見られたが、数は目的地付近の方が多かった。孵卵13ー14の視蓋では退行線維が多数存在した。孵卵15日になるとほぼ成熟した投射パターンが見られた。 成熟視蓋では、網膜後部からの視神経線維は視蓋吻則部で強いスポット状の蛍光を呈しており、視蓋と網膜の対応は非常に厳密であることがわかる。ただし、かなりの線維が内ー外則、吻ー尾側方向の経路の修正を行っていた。180°近く方向転換をして目的地に達している線維もあった。 以上のことから、網膜と視蓋の対応は最初は割とルーズで、視神経線維は視蓋の広い範囲に分布する。その後、視神経線維は側枝を出して目的地を探り、目的地を見つけられない線維は退縮する。できあがった網膜ー視蓋の対応はたいへん厳密であるということがわかる。
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