我々は前年度において、カエル桿体外節から調整した内在性膜蛋白を用いて66Kと250Kの二つのcGMP結合蛋白を同定するとともに、脂質平面膜法によりcGMP依存性カチオンチャネル活性の再構成に成功した。本年度はこれらの蛋白を精製するとともにその抗体を作製することに主眼を置いた。主として250K蛋白に注目し、庶糖密度勾配遠心法によるこれの部分精製と、リポソーム再構成法によるチャネル活性の再現に成功した。250Kと66Kの完全精製は現在続行中である。SDSゲル上の250Kと66Kのバンドから抽出した蛋白を抗原として各々のポリクロナル抗体を得ることができた。250Kに対する抗体を用いて免疫電顕法により外節上での分布を調べたところ、外節膜よりもむしろ円板膜上に強い標識が認められた。この結果はcGMP依存性チャネルが円板膜上にも多量に存在するという最近の知見と一致する。一時250Kはスペクトリンではないかとの疑いがもたれたが、その可能性はこの結果により否定された。今後66K抗体を用いて同様の試みを行う予定である。興味深いことに250K抗体と66K抗体が互いに交叉することが判明した。250Kは熱処理により分解することはないので66Kが250Kのサブユニットである可能性は少なく、むしろ250Kが66Kの前駆体であるのかもしれない。あるいはこの両者が違うタイプのcGMP依存性カチオンチャネルとして機能している可能性もある。最近ウシ桿体外節において63Kと39Kの二つの蛋白がチャネル候補蛋白であると示唆されているが、上記の66Kはおそらくウシの63Kに対応するものと思われる。近い将来、250Kと66Kの完全精製とその再構成によりこれらの疑問に答えていきたい。
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