研究概要 |
絨毛という組織構築下における共輸送活性とpHiとの関係を探る前準備として, ニワトリより単離した小腸上皮細胞の懸濁系を用いてpHi調節に関わるイオン輸送系の基本的な性質を調べ, 以下の知見を得た. (1)Na/H交換輸送系が存在し, 生理的なメディウム条件下で有意に機能している. (2)重炭酸イオンを添加していないメディウム中にあっても, メディウム中のClイオンの硫酸イオンへの置換による外向きCl勾配に駆動されたpHiの上昇が認められた. 各種の輸送阻害剤の影響から, Cl/OH(HCO_3)交換輸送活性によるものと判定された. (3)輸送阻害剤を用いた実験から, Na/HおよびCl/OH(HCO_3)輸送系の働きだけでは説明できないpHi変化を見いだし, それが近年腎上皮細胞でも存在が確認されつつあるNa依存性HCO_3/Cl交換輸送によるものである可能性を示した. 以上のことから, 本研究に用いたニワトリ小腸上皮細胞には, 少なくとも3つのpHi調節にかかわるイオン輸送系が存在することが想定される.
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