研究概要 |
1.実験標本の作成.モルモット単一心筋細胞はコラゲナーゼ処理にて容易に作製することが可能となり, 心室筋と心房筋の分離も可能である. 下記の如く本実験目的には, 神経細胞での経験からみても円形細胞が最適である. この為, 胎生動物の心房筋細胞(円形)の作製も併せて可能とした. 2.実験方法の概要.先端直径3〜4μmのガラス電極先端に細胞を保持して高速にて細胞外液の交換を行なうため機械的ノイズが入り易く, モルモット単一心筋細胞の様に短冊形の細胞は電極先端で細胞の動揺が極めて大きく細胞膜の機械的損傷が生じ長時間の実験が困難である. この解決策として(1)円形細胞のみを対象とするか, (2)外液交換の速度を遅くして機械的損傷を最小限に防ぐかである. しかし(1)の場合は, 胎生細胞に限定されてしまうし, (2)の場合は本実験の長所である高速の外液交換が不可能となり, 今後の方針を検討しているところである. 3.実験実績.上記の如く長時間の実験が不可能に近いが, 単一心筋へのアセチルコリン投与にて生ずる膜電流の記録は一部可能となった. ただし, 外液交換の速度が遅い為に, 活性化と不活性化が重なり両者分離した解析の為には困難であり, 今後, 活性化, 不活性化のどちらかを抑制もしくは増強する特異的薬物或いは実験条件が必要になると考えられる. 4.実験方向性.当初の実験目標が十分に完成されていない状況であるが, 科研費使用の有効性を考え, アセチルコリン, カテコーラミンの心筋作用とも密接に関係してくると考えている. 心筋のステロイド受容体の可能性について検討進めステロイドホルモンの強心作用についてCa電流, K電流の解析を行ない今春の学会において発表, 論文投稿中である.
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