研究課題/領域番号 |
62570061
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
蓑田 #一 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (70080562)
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研究分担者 |
久場 健司 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (60080561)
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キーワード | シナプス伝達 / 長期促進 / カルシウムイオン / 交感神経節 / 量子数 / カルシウム / カルモジュリン依存性キナーゼ |
研究概要 |
ウシ蛙の交感神経節細胞を用いて、節前線維の頻回刺激後に生じるシナプス電位(fast EPSP)の長期促進現象(Pre-l.t.p)の発生機序を調べてきた。その結果Pre-l.t.pは伝達物質の放出量が増大して生じる事を明らかにした。今回この発生機序を更に詳しく調べ次の事を明らかにした。 Pre.-l.t.pの発現中ではPair pulseで発生する短期促進は減少し、自発性微小シナプス電位(mEP・SP)の発現頻度は増大した。Ca^<2+>イオノフォアであるA-23187によりPre.-l.t.p.は増大し、Ca^<2+>緩衝剤であるgum-2/AMによってPre.-l.t.p.の発見は抑制された。これらの結果は、Pre.-l.t.p.の発見にCa^<2+>が必要であり、その発現中には神経終末内の基準Ca^<2+>濃度の持続的な増大が生じていることを強く示唆している。 次にPre.-l.t.p.の発生に第2メッセンジャー(プロティンキナーゼ系)が関与しているか否かについて調べた。Cキナーゼの活性剤であるフォーボールエステル(PdB)とジアシルグリセロールのアナログであるOAGによりシナプス伝達の効率は増大したがPre.-l.t.p.はこれらの薬物存在下でも発生してOcclusionは生じなかった。Cキナーゼ阻害剤H-7を長時間投与してもPre.-l.t.p.は発生した。更にCキナーゼの他にCAMP依存性又CGMP依存性プロテインキナーゼやミオシン軽鎖キナーゼに対しても高い阻害作用をもつStawrosporine存在下でもPre.-l.t.p.は発生した。よって上記のプロテインキナーゼ類はPre.-l.t.p.の発現には無関係と思われる。 一方、カルモジュリン(CaM)阻害剤であるtriflwcperagineを投与すると、Pre.-l.t.p.の発生は抑制された。このことはPre.-l.t.p.の発現にCa/CaM依存性キナーゼが関与している可能性を示唆している。よって別の阻害剤であるW-7やCa/CaM依存性キナーゼ活性剤等のPre.-l.t.p.に対する作用、又これらの薬物のCa電流に対する作用などを詳細に検討する必要がある。現在この点について研究を進めている所である。
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