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1988 年度 実績報告書

シナプス機能の長期的変化に関わる神経伝達物質およびモジュレーターの細胞内作用機序

研究課題

研究課題/領域番号 62570064
研究機関東京医科大学

研究代表者

小林 春雄  東京医科大学, 医学部, 教授 (20074502)

研究分担者 高橋 進  山口大学, 教養部, 教授 (90022665)
持田 澄子  東京医科大学, 医学部, 講師 (30096341)
キーワード交感神経節 / 緩徐シナプス応答 / ムスカリン性受容体のサブタイプ / 細胞内メッセンジャー系 / GTP結合蛋白 / 環状GMP / 蛋白燐酸化 / シナプス可塑性
研究概要

自律神経系における重要なシナプス部位である交感神経節において、伝達物質であるアセチルコリン(ACh)がムスカリン性作用により緩徐な後シナプス電位の発生、および伝達物質放出の様々な調節を行う可能性がある。その細胞機序につき解析し、以下に要約される結果を得た。
1)AChはM_1ムスカリン性受容体を介して節後神経細胞に緩徐な脱分極性後シナプス電位(Slow EPSP)を起こさせる他、節内介在神経細胞からのドパミン放出を促進させる。一方M_2ムスカリン性受容体の活性化は過分極性後シナプス電位(Slow IPSP)を起こさせる他、活動電位発生中のCaイオン流入を抑制する効果(恐らく伝達物質放出を抑制する調節)を表わす。
2)M_1およびM_2ムスカリン性受容体の活動は、いずれも百日咳毒素に感受性のあるGTP結合蛋白を介して特定の細胞内メッセンジャー系に伝えられる事を示唆する結果を得ている。メッセンジャー系として最も重要なものはフォスファチジルイノシトール(PI)系であるらしく、蛋白キナーゼCの賦活・阻害剤、イノシトール三燐酸(IP_3)を投与するとAChの効果と類似した結果が得られる。その他に可能性のあるメッセンジャー系として、環状GMP依存性燐酸化系がある。
3)交感神経節で蛋白キナーゼGの高い活性が検出され、それにより分子量54Kと90Kの二種類の基質蛋白が燐酸化される。M_1ムスカリン性受容体の刺激により同じ基質蛋白が燐酸化されるので、ムスカリン性受容体はPI・Cキナーゼ系以外に環状GMP・Gキナーゼ系をも用いて、交感神経節のシナプス伝達を調節している可能性がある。
以上のように神経活動の長期的な調節に際して、特定の伝達物質受容体が細胞内伝達代謝過程を経て機能している機構を解析した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Mochida,Sumiko: Neuroscience Letters. 86. 201-206 (1988)

  • [文献書誌] Mochida,Sumiko: Neuroscience Letters. 93. 247-252 (1988)

  • [文献書誌] Mochida,Sumiko: Life Sciences. 42. 2195-2201 (1988)

  • [文献書誌] Mochida,Sumiko: Brain Research. 455. 9-17 (1988)

  • [文献書誌] Takahashi,Susumu: Journal of Neurochemistry. 51. 1300-1307 (1988)

  • [文献書誌] 小林春雄: Clinical Neuroscience. 6. 864-867 (1988)

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公開日: 1990-03-20   更新日: 2016-04-21  

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