研究課題/領域番号 |
62570064
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
小林 春雄 東京医科大学, 医学部, 教授 (20074502)
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研究分担者 |
高橋 進 山口大学, 教養部, 教授 (90022665)
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キーワード | 交感神経節 / シナプス伝達 / ムスカリン性受容体 / サイクリックGMP / 蛋白燐酸化 / 細胞内シグナル伝達系 / 可塑性 / モジュレ-ション |
研究概要 |
本年度の研究は、主として神経生化学的研究を中心に行った。 1.環状GMP依存性蛋白キナ-ゼ(Gキナ-ゼ)の検出。8-Azido-cyclic GMP[^<32>P]を用いたphoto affiinty labeling法により、ウサギ交感神経節ホモジェネ-ト中にある分子量約74kの蛋白が環状GMPを特異的に結合させる事が判った。この蛋白はその分子量が過去に他組織で同定されたGキナ-ゼと等しく、環状GMPに対する特異性から見ても交感神経節におけるGキナ-ゼであると見られる。同様の蛋白がhydroxyapatite chromatographyの一分画に確認され、この蛋白分画に明らかにGキナ-ゼ活性が認められた。 2.Gキナ-ゼの内在性基質の同定。環状GMPの存在下で数種類の異なる分子量を持った内在性基質蛋白の燐酸化の起こる事が認められた。そのうち神経節生組織においては分子量的90k・等電点4.5の蛋白の燐酸化が最も著明かつ安定に起こる事が確認された。 3.内在性基質蛋白の燐酸化とムスカリン性受容体。神経節をムスカリンによって刺激すると、分子量90k等電点4.5の蛋白が著明に燐酸化された。この燐酸化はM_1受容体に特異的なアゴニストであるMcN-A-343でもよく起こり、M_1受容体の遮断薬であるpirenzepineで抑えられるが、M_2遮断薬AF-DX116では抑えられない事から、神経節内で環状GMP依存性の特異的蛋白燐酸化はM_1受容体を介して生理的に調節されていると結論した。 4.当面の結論。前年までの電気生理学的結果と併せて、M_1受容体を介して起こる交感神経節の緩徐脱分極性シナプス応答(slow EPSP)の発現には、ニュ-ロン内の環状GMP依存性蛋白燐酸化系が介在している可能性が高いものと推測される。
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