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1988 年度 実績報告書

ニューロンの活動と逆行性軸索内輸送

研究課題

研究課題/領域番号 62570069
研究機関(財)東京都神経科学総合研究所

研究代表者

小池 宏之  東京都神経研, 神経生理学研究室, 副参事研究員 (90073072)

研究分担者 海津 敬倫  東京都神経研, 神経生理学研究室, 主事研究員 (80113489)
キーワード逆行性軸索内輸送 / 開口放出 / 急速凍結法 / シビレエイ
研究概要

化学シナプスにおいては、シナプス小胞がシナプス前膜と融合して開口放出により伝達物質をシナプスに間隙に放出するが、この際、シナプス小胞の膜が融合することによって増加するシナプス前終末部の細胞膜は、喰作用を受け再び細胞内に取り込まれシナプス小胞として再利用されると云う仮設がある。従って、シナプス前ニューロンの活動は直接終末部の膜の再循環を促進し、取り込まれた膜の一部は軸索終末部から逆行性に細胞体に向かって輸送される顆粒を形成する可能性が考えられる。このニューロンの活動と対応した軸索終末部内の顆粒の変化、逆行性軸索内輸送の変化を調べるのに、シビレエイの発電器官を用いた。
シビレエイの発電神経の電気刺激で、発電器官(発電板)からは安定した潜時で大きな電位が記録される。発電器官を薄くスライスし、特別に用意した装置に装着して急速凍結装置にセットし、凍結直前に電気刺激を行いシナプス電位を記録しながら、シナプス伝達の様々な時点で標本を急速凍結して、電子顕微鏡を用いて軸索終末内の顆粒の増減を調べたが、有意の変化は観察されなかった。また、終末部の膜にシナプス小胞が開口している像、あるいは逆に食作用を示すかのような所見も認められなかった。薄くスライスした発電器官を微分干渉顕微鏡で観察し、そのビデオ画像をデジタル画像強調を行うことにより、軸検終末部周辺の軸索内を移動する顆粒状物質を認めた。これらの顆粒の移動の速度および数は、しかし、当初の予測に反して神経刺激によって特に増減るすとは言えなかった。今回の限られた実験からだけから結論は出来ないが、通常のシナプス伝達に当たっては、開口放出されるシナプス小胞の数は検出可能なほど多くはなく、従って膜の食作用も特に増進せず、軸索内を逆行性に輸送される顆粒の数にもシナプス伝達の促進の効果は殆ど認められなかったとも考えられる。

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公開日: 1990-03-20   更新日: 2016-04-21  

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