研究概要 |
1.神経ペプチドの中枢作用部位の1つと考えられる視床下部室傍核(PVN)刺激の血圧と腎交感神経活動(RSNA)に対する効果を調べた. (1).ウレタン・クロラローズ麻酔したラットのPVNを微小電気刺激(10-25μA)すると, RSNAの低下を伴った降圧反応が, 1方強い電気刺激(75-100μA)ではRSNAと血圧の一過性の上昇それに続く低下の2相性反応が見られた. RSNAの抑制と興奮反応の潜時は各々50-100ms,200msであった. (2).PVNへのグルタメイト(0.5M,80nl)注入によって, RSNAと血圧の低下が起こった. この結果は, PVN刺激による交感神経活動低下を伴った降圧反応は, 通過線維でなくPVNの細胞の興奮によることを示している. (3).循環反応は麻酔により影響を受けることがよく知られているので, 無麻酔ラットのPVN刺激の効果を調べた. 慢性的にPVNに刺激電極あるいは化学刺激用ガイドカニューレを留置したラットを用いて, ネンブタール麻酔下で血圧測定用カニューレと腎交感神経に記録電極を装着した. 手術終了後24-48時間後, PVN刺激に対する血圧とRSNA反応を調べた. 麻酔下と異なり, 電気, グルタメイト刺激によってRSNAの増加を伴った昇圧反応が見られた. 2.側脳室投与のアンジオテンシンII(AII)と心房性ナトリウム利尿ホルモン(ANP)の血圧とRSNAに及ぼす効果を調べた. ウレタン・クロラロース麻酔したラットでAII投与により用量依存性に血圧上昇とRSNAの抑制反応が見られた. このRSNAの抑制が圧反射を介するものかどうか目下検討しているところである. ANPの単独投与では変化が見られなかったが, AII投与後ANPは血圧とRSNAの低下を引き起こした. 次年度, これらAIIとANPの中枢内作用部位及び作用機序について解析を進める. また麻酔の影響についても調べる.
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