研究概要 |
γ-アミノ酪酸(GABA)の副腎髄質カテコールアミン(CA)遊離における役割について研究し, 以下の結果を得た. 1.GABAはイヌ及びウシ摘出潅流副腎, 培養ウシクロマフィン細胞においてCA遊離を惹起した. さらに培養ウシクロマフィン細胞においてGABAはアセチルコリン(ACh)高濃度K^+, ベラトリジン刺激によるCA遊離を濃度依存的に増強した. 外液Ca^<2+>除去, Ca^<2+>拮抗薬処置によりGABAのCA遊離作用は消失し, 外液Ca^<2+>非存在下でも認められるカフェインによるCA遊離に対しても影響しなかった. 2.GABAはCA遊離と並行して^<45>CaG_2込みを有意に増加させ, この作用はCa^<2+>チャネル拮抗薬ベラパミール, ニフェジピンにより抑制され, 同活性化薬BayK8644により増強された. GABA, ACh同時投与により相加的な^<45>Ca取込みが認められた. 3.こうしたGABAの作用は種々のGABA作動薬, 拮抗薬を用いた実験よりGABA-A受容体を介することが示唆された. 4.GABA受容体と密接に関連していると考えられているベンソジアゼピン(BDZ)はイヌ摘出潅流副腎においてGABAのCA遊離作用を増強したが, AChによるCA遊離には影響しなかった. 培養ウシクロマフィン細胞を用いBDZの作用をさらに詳細に検索した結果BDZはまたGABAのベラトリジン刺激によるCA遊離の増強作用に対しても協同的に働くこと, その作用は中枢性BDZ受容体を介することが明かとなった. 5.中枢神経系においてGABA-A受容体と連関したCl^-チャネルに作用してGABAの作用を増強すると考えられているペントバルビタールはGABAのCA遊離作用を濃度依存的に増強し, その作用は低濃度GABA刺激時により著明であった. 以上の結果を総合すると, 副腎髄質クロマフィン細胞においてGABA-A受容体, BDZ受容体, Cl^-チャネル複合体が存在し, CA遊離に対し促進的調節を行なっていることが示唆された.
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